あらすじ

いわくつきの土地に建てられた自宅。病弱な私は、幼い頃から心霊現象に悩まされてきた。柱に浮かぶ男の顔、寝床に滑り込んでくる長い髪の女。深夜、誰も居ない公園で鉄棒を掴んで、くるくる回る不気味な片腕。 中でも脅威に思うのは、部屋の片隅に時折り出現する、黒く蠢く霧状のものだ。同居する祖母は、私と同じように「見える」体質で、黒い霧には関わってはいけない、見えないフリをしていなさいと忠告する。 七年間、一人娘として両親から溺愛されていた姉は、私がこの世に生を受けた瞬間から、異常な憎悪と嫉妬の炎を燃やした。普段は会わない親戚連中の前では、明るく世話好きな顔を見せる反面、弱者に対しては残虐な一面を見せる。虫眼鏡で太陽光を集めて虫を殺すことに始まり、妹の飼っている小鳥を握り潰して殺してしまった。それは小動物へとエスカレートし、庭の一角に生えている南天の木の根元にこっそりと埋めているのだ。姉の殺意の矛先が、遂に私に向けられる。高熱で寝込んでいる私の枕元に座り、にこにこしながら「これ、綺麗だよ。下から覗いてごらんよ」と、一枚の珍しいコインを手渡した。滑りやすいように油を塗って。 姉の善意を盲目的に信じた私の手にしたコインが滑り、喉に入って気道を塞ぐ。窒息死しかけた時、黒い霧が現れて、或る取引を持ちかけるのだ。

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エブリスタ
エブリスタ2021/11/29
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