あらすじ
『ぼろ会社を立て直し、本社復帰した私を社長の息子が婚約破棄したうえフル無視するので退職してざまぁします。』
『値引きしない女』
最初は、
信じていた。
同じ未来を、
同じ速さで歩いていると
思っていた。
だけどあなたは、
人の価値を
肩書と年齢で計り始めた。
まるで
スーパーの売れ残りみたいに
俯いた視線で。
私はそこで気づいたの。
**「愛されないことより、
自分を安く見積もるほうが痛い」**って。
あのぼろ会社の埃まみれの机。
折れたペン。
壊れた機械。
眠った数字。
誰も期待していない場所で、
私は芽吹いた。
汗と悔しさと、
それでも続けた努力。
黒字になった瞬間、
数字が笑った。
心も笑った。
そして戻った本社。
あなたは目も合わせなかった。
声も寄越さなかった。
まるで
存在しない人を見るみたいに。
それなら、いい。
私はあなたの人生の
影ではない。
退職届を置いた瞬間、
心が軽くなった。
失うものなんて
ひとつもなかった。
だって、私はもう
誰にも捧げていない。
私の人生は、私のもの。
ヒールの音が響く。
背中を伸ばす。
息を吸う。
光を見る。
私は売れ残りじゃない。
期限切れでもない。
値引きもしない。
そう言い聞かせる必要もない。
ただ、歩くだけで
答えになる。
最後にあなたへ。
忘れないで。
私を捨てたんじゃない。
あなたが、
自分の未来を取りこぼしただけ。
そして私は今日も、
胸を張って働く。
だって――
私は価値を下げない女だから。