あらすじ
1981年、千葉県安房町に住む小学六年生・阿部祐樹は、テレビアニメ「機動戦記バンダム」に夢中だった。アニメ誌で「2月22日・新宿アラタ前広場にファン集まれ」という告知を目にし、どうしても行きたいと胸を高鳴らせる。地元の大学生・春彦も同じバンダムファンで、深夜に自慢の中古車タニーで出発すると誘われた。妹の留美子までついてきて、三人と一人の大冒険が始まる。
しかし道中、タニーが市川大橋でオーバーヒートしてしまい、祐樹と留美子はヒッチハイクで東京へ向かうことに。勝鬨橋で降ろされてからは、真冬の東京を徒歩で10キロ以上も歩く。靴ずれで歩けなくなった留美子を祐樹は背負い、兄妹は互いに励まし合いながら新宿を目指す。
新宿三丁目に到着すると、そこはすでに全国から集まったバンダムファンで埋め尽くされていた。祐樹は地下道を抜け、混雑と圧力の中を必死に進み、ついにアラタ前広場へ。
朝日を浴び、ファンへ向けて語る“神野幸善監督”の後ろ姿を見た瞬間、祐樹は心の底からつぶやく。
――“ネオタイプだ”。
大人になった今でも、あの日の光景は祐樹の胸で輝き続けている。