あらすじ
昭和四十七年、梅雨。
三日三晩降り続いた雨の日、染崎陽介は最愛の妹・環を失った。
十七歳、市電との接触事故。
湿った空気と親戚の声の中で、青年は何も感じられないまま、ただ遺影を見つめていた。
あれから七年。
二十歳だった青年は、教師となり、かつての母校――成海中学校へ赴任する。
新しいスーツに身を包み、ようやく「生き直し」を始めたはずだった。
しかし、そこはただの「学校」ではなかった。
土地に古く根付く風習、忘れられた神、村落の境界にまつわる禁忌。
相反する二つの世界が重なり、時に入れ替わり、
人の形をした“なにか”が姿を見せる。
一年五組の生徒たちはどこか奇妙で、
生徒会は妙に霊的事情に詳しく、
個性豊かな生徒ばかり。
やがて青年は気づく。
環の死は“偶然の事故”ではなかった。
この土地の“歪み”は、七年前から始まっていたのだと。
並行世界に連なる双子の運命。
因果がねじれた三つ子の悲劇。
祀られぬ神が残した影。
生徒たちの日常に潜む異形の気配。
すべてはまだ、静かに動き始めたばかり。
――これは、ひとりの青年が過去と向き合い、
並行の世界と重なった学校で、もう一度「未来」を選び直す物語。