あらすじ

東大阪の下町で育った赤嶺美月は、5歳にして“筋を通すこと”に命を懸ける奇妙な幼女だった。 理由は一つ――祖父・清一の家で毎日のように一緒に観ていた昭和任侠映画。 仁義だ、盃だ、落とし前だといった言葉が、美月の中では“ヒーローの叫び”として響いていた。 幼稚園でも、美月は理不尽を見つければ即突撃。 玩具の取り合いでも、順番抜かしでも、弱い者いじめでも、小さな身体で啖呵を切って場を収める。 相手の子どもは泣き、先生は頭を抱え、幼馴染の蓮は毎度巻き込まれながらも美月を慕い続けた。 しかし、美月の任侠気質は決して乱暴な正義ではなかった。 “弱きを助けるのは当然”“仲間を裏切るくらいなら泣いた方がマシ” そんな祖父譲りの筋の通し方が、周囲の子どもたちにも少しずつ影響を与えていく。 夏祭りで迷子の子を助けた日。 園のトラブルを仲裁した日。 父や母を励ました日。 そのたびに美月は気付かぬまま、“誰かのために動く自分”を好きになっていった。 やがて小学校へ上がる頃、美月はテレビで“戦隊ヒロイン”という存在を知る。 悪を倒し、人々を守り、仲間と絆で戦う赤いヒロイン。 その姿は、幼い頃から彼女の胸に燃えてきた任侠の魂と、完全に重なった。 ――「ウチ、こういうのになりたいねん。 筋(すじ)通したまんま、大勢の人を守れるヒーローに」 この日、美月の未来が決まった。 東大阪の下町で“幼女任侠”と呼ばれた少女は、10数年後―― 全国に名を轟かせる真紅の戦隊ヒロイン、赤嶺美月へと繋がっていく。 本作は、ヒロインになる前の美月の“原点”を描くスピンオフ。 昭和任侠映画の影響で筋を通すことを覚えた一人の少女が、 いずれ大勢を救う力と覚悟を身につけていく、その最初の一歩の物語。

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小説を読もう2025/11/15
  • 現在の作品赤嶺美月の幼女任侠伝