あらすじ
白銀の髪と真紅の瞳を持つ少年ラルムは、幼い日に母を野盗に殺され、
絶望のまま彼らを殺し尽くした。その凄惨な姿を見ていた暗殺者に拾われ、
ラルムは感情を失いながら、人を殺す技だけを研ぎ澄まして育っていく。
潜伏先の小さな町で、彼はエリアという女性と出会う。
彼女の優しさに触れるたび、錆びついた心が少しずつ温かさを取り戻し、
ラルムは初めて「誰かと生きたい」と願うようになる。
しかし任務に向かった先で、エリアは先行した暗殺者に刺されていた。
復讐に狂うラルムを、息絶えゆく彼女は止める。
「あなたが私を想ってくれるなら……違う道を歩いて」
その言葉だけを残し、エリアは微笑んで息を引き取った。
エリアの葬儀で彼女の兄から、
彼女が騎士への恨みの巻き添えで殺されたことを知らされ、
ラルムは“奪う剣”を捨て、“守る剣”を学ぶため騎士団へ入る。
――十八年後。
騎士団長となったラルムは、街でエリアに瓜二つの十六歳の少女に出会う。
記憶のない彼女に惹かれるほど、胸の痛みは深くなる。
忘れたいのに忘れられない。
手を伸ばせばまた失うかもしれない。
それでも、彼女はラルムの心に、失われた温もりを呼び覚ましていく。