あらすじ
流れの商人を名乗る青年、ユートは、異世界転生者である。
チートもなく、魔法なんてものは使えないが、口とノリだけは達者で、前世の知識を活かして今日も今日とて胡散臭い薬を売り歩く日々を送っていた。
そんなある日、王都で「王と王女が不治の病に倒れた」という噂を耳にする。
――これだ!弱ってる人間は、オカルトに飛びつく!!
ユートは適当な瓶に川の水を詰め、「伝説の霊薬《エリクサー》」として城に乗り込む。
もちろん、中身はただの水。
だが、失意のどん底であった彼らを騙すのはたやすく、霊薬の値段としては非常に破格ながらも、平民であれば一生遊んで暮らせる金を手に入れることに成功した。
慌てて国外逃亡を図るが――
「そこの男、止まれ!」
騎士団に取り囲まれ、終わった……と思ったその瞬間。
「感謝する、ユート殿。我らを救ってくれた救世主よ」
「えっ、治ったの!?」
こうして“詐欺師”ユートは、“国の恩人”として持ち上げられることに!?
王女からは信頼され、王からは寵愛を受け、周囲からは崇拝される。
だがユート自身、まだ知らなかった。
――あの「ただの水」に宿っていた、本物の“奇跡”の正体を。
ハッタリと機転と偶然で駆け抜ける、薄っぺらくて胡散臭いと他称されるインチキ薬師の偽りの英雄譚、開幕!!