あらすじ
煌びやかな王宮での夜会。
それも今夜で最後だわ。
・・・はぁぁ。まったくもう、馬鹿にしてるわ!
結婚して3年たってないのよ?
それなのに、旦那様が亡くなって。子どもがいないからって追い出されるの!あんまりだと思うでしょ?ね?!
次の侯爵は旦那様の弟。
侯爵夫人として勉強してきたのに。それが2年と4か月でおしまいってあんまりじゃない?これから成果を見せるはずだったのよ?
義弟は新婚で。
「義姉上も兄を亡くしたばかりで気持ちの整理がつかないでしょうから、しばらく侯爵家の別荘でお過ごしになっては如何でしょう」
って。つまり、わたくしを侯爵家のタウンハウスからさっさと追い出したいのよね?
しかもしばらくって何よ!しばらくしたら侯爵家の別荘からも追い出す気??
そりゃ、政略結婚だったけど。泣き暮らすほど惚れてたとは言えないけど。それでも仲良くやって来たのよ。旦那様だったらそんな冷たいこと言わないのにっ!
・・・とはいえ。
新侯爵閣下に逆らえもせず。今日の夜会を最後にど田舎の領地の別荘へ行かなければならない。二度と、王宮の夜会にも出席できないんでしょうねぇ・・・。はぁぁ。なんだか寂しい。
せめて今夜、ちょっとした思い出でいいから望みたいわぁ。
・・・あら。あすこに居るのは騎士の・・・ほうぅ。いつ見ても創られたお人形みたい。どうしたらあんな整ったお顔が出来上がるのかしら。
公爵家の若様でもある彼は、その美貌で衆目を集めてる。王女殿下もすっかり虜でいらっしゃると聞いたわ。世の美をすべて集めたんじゃないかと思われるお姿だもの、当然よねぇ。
でも彼は、女性嫌いなのだそう。いつだって男性を周りに侍らせてるのよ。でも今夜はそばに居るのはおひとりだけね。
背の高いおふたりが、時々顔を近づけて内緒話をなさる姿は・・・なんだかいけない想像を掻き立てるわ!
・・・ほんと、素敵な男性だわぁ。
背は高いし、あの赤い髪はなんだか情熱的に見えると思わない?
旦那様には悪いけど、わたくし実はがっしりした殿方が好きだったのよねぇ。
いけない、わたくしの視線に気づかれたかも?
でもどうやら、あの方は。わたくしが隣の方をじっと見てるとお思いのようだわねぇ・・・。はぁぁ。違うのに。
最後の思い出にダンス、申し込んでくださらないかしらねぇ。