あらすじ
宿儺潤子は、人の心が読める。
だからこそ、人の嘘が見える。言葉と心の乖離が見える。そして、誰も信じられなくなった。
ある日、彼女は清明透という男性に出会う。彼の心と言葉は、完全に一致していた。嘘をつかない。偽らない。ただ、誠実に生きている。
潤子は、二十八年の人生で初めて、誰かに恋をした。
だが、もう一人の女性が透に近づいていた。牟田口香織——完璧な笑顔、完璧な言葉、完璧な演技。彼女は、感情を持たないサイコパスだった。
香織は透を「合理的なパートナー」として選び、計画的に誘導する。潤子は香織の本性に気づくが、証拠はない。
心を読める者と、心を持たぬ者。
二人の女性の静かな戦いが始まる。
そして透は、自分が戦場の中心にいることを、まだ知らない。
真実とは何か。信頼とは何か。人間らしさとは何か。
三つの視界が交わるとき、誰も予測できない結末が待っていた――。