あらすじ
二十七歳の社畜OL・綾乃は、月三百時間残業の末、深夜のオフィスでそのまま倒れて人生終了……した、はずだった。
目を覚ますと、真っ白な空間。目の前には、やる気のなさそうな女神がタブレットをいじっている。
「お疲れ様でしたー。ブラック企業ポイントがカンストしたので、補償として《異世界婚活アプリ・ソウルマッチ》に自動登録されました」
説明によると、転生先は「異世界の独身貴族・王族・魔王」から選べるらしい。
ここで綾乃は、前世を思い出して固く決意する。
「もう二度と、理不尽に我慢しない。
残業ゼロ、パワハラ禁止、休日出勤なし、家事分担必須。浮気? 論外」
細かく条件を入力した結果──
『あなたの条件に合致するお相手は、一名だけです』
『候補者:魔王レオニス・ノア・ヴァルガ 種族:魔族 肩書き:冷徹魔王/人類最悪の天敵』
「え、よりによって魔王!?」
人間の応募者は、「残業あり」「家事は妻の仕事」「妻は王都の飾り」ばかりで、条件を満たすのは魔王だけ。
悩んだ末に綾乃は、女神の最後通牒に押されて【承諾】ボタンをタップしてしまう。
次の瞬間、禍々しい黒城の謁見の間に転生した綾乃の前に現れたのは──噂とは全く違う、目つきだけ怖い大型わんこ系魔王だった。
「来てくれて、ありがとう。
契約書だ。君の条件は、すべて守ると約束しよう」
差し出されたのは、分厚い婚姻契約書。
そこには、残業禁止・休日保証・家事は完全外注・妻への暴言罰金制度など、綾乃が入力した条件が、魔王のサイン付きでずらりと並んでいた。
実は「冷徹魔王」の黒い噂のほとんどは、人間側のプロパガンダ。
現実の魔王レオニスは、部下思いだけど数字と書類に壊滅的に弱い、超不器用な不憫イケメンだった。
「……あの、その、触れてもいいか。痛くないか?」
「え、あ、はい?(え、思ってたよりコミュ障かわいい……)」
社畜経験で鍛えられた綾乃は、魔王城に蔓延る「サービス残業」と「ブラック部署」を次々と是正していく。
・徹夜上等だった魔族研究班に、きっちりシフト制を導入
・命がけだった前線部隊に、有給とカウンセリング制度を新設
・書類の山に埋もれていた魔王には、スケジュール管理アプリ(魔法版)をプレゼント
気づけば彼女は、「魔王軍初のホワイト化」を進める改革者として、城中から慕