あらすじ
昭和二十年、春。
鹿児島・鹿屋海軍航空基地に、新たに配属された特攻隊員・村瀬湊(むらせ みなと)は、出撃を七日後に控えていた。
死を覚悟しながらも、どこかで「生きたい」と願う心を抱えたまま、彼は静かにその日を待っていた。
そんなある日、湊は町で出会った女学生・白石澪(しらいし みお)と、偶然のように、しかし運命のように出会う。
言葉少なに交わす視線、風に舞う桜、手紙に綴られた詩――
限られた時間の中で、二人の心は静かに、確かに惹かれ合っていく。
「来年の春、またこの桜の下で会おう」
出撃前夜、湊が澪に残した約束。
それは叶わぬ未来を信じるための、たった一つの希望だった。
そして七日後、湊は空へと旅立つ。
澪はその日から、毎年春になると、あの桜の木の下で彼を待ち続けた――。
時を経て、老いた澪が再び桜の下に立つとき、風がそっと彼の声を運んでくる。
それは、時を超えて結ばれた、たった七日間の恋の物語。