あらすじ
音が色になり、感情が味になり、嘘はノイズとして「視える」──。
調(しらべ)マキナ、十九歳。ノイズキャンセリングヘッドフォンで世界を遮断して生きる彼女は、自らの特殊な共感覚を「単なる知覚」として扱う論理派の少女。
警視庁の落ちこぼれ刑事・辺見(へんみ)に請われ、彼女が初めて足を踏み入れるのは「完全防音の社長室」で起きた密室殺人。証言は三者三様に完璧に揃っている――だが、マキナが視たのは、誰もが見落とす“微かな不協和音”だった。
感覚が導く直感と、論理が織りなす解釈。二つの視点が交差するとき、密室の鍵が音を放つ。少女は耳を澄ませる。嘘の旋律(アンサンブル)に、わずかな狂いが聴こえるかどうかを。