あらすじ
かつて大陸全土を支配していた宗主国・皓。
花も金も鳥さえも平伏した彼の国は、従属国をひとつ、またひとつと独立させた。
それから幾百年が過ぎ去り、皓国はかつての従属国であった「蒼」によって滅ぼされることとなる。
皓国が滅んでから十年後──万華国で繍女として働く素月は、滅ぼされてしまった皓国の公主という秘密をひた隠しにしながら、異母兄と共に「娶らず嫁がず」を誓い、静かに暮らしていた。
もう争い事には関わりたくはない。一族の血も残す気はない。望むのは平穏な暮らしだけ。
だが素月の瞳には、星が煌めく。
皓国の代々の皇帝が瞳に宿していたという星を、素月は持って生まれてしまったのだ。
星が輝けば、月が煌めく。
月が煌めけば、白龍が舞う。
白龍が舞えば、天帝の子が生まれ落ちる。
そんな馬鹿げた伝承を、素月は信じたりなどしていない──けれど、懸念はある。
これが平穏を脅かす「災星」になってしまうのではないか、と。
素月が望むのは、平穏な暮らしだけ。
ただそれだけを、心から願っている。
それだけなのだ。