あらすじ
「本当の私なんて、誰も見ようとしない」
月島凪(つきしま・なぎ)、十八歳。
大学に入学したものの、誰とも馴染めず、教室では空気のように過ごしている。
ただ一つの居場所は、仮想空間〈Ark〉の中。
そこでは“nagi”という名のアバターで、感情をテーマにした短編映像を投稿していた。
しかし、彼女の新作が投稿されるたびに、数時間後、まったく同じ内容の映像を発表する謎のアカウント〈Ghost〉が現れる。
「私の心を、盗まないで」
怒りと恐怖の中で、凪はGhostの正体を探りはじめる。
調査の過程で出会ったのは、皮肉屋のサウンドクリエイター・樋口、絵師の空美桜(みお)、そして“nagi”の熱狂的ファンである少年・晴翔(はると)。
四人の交流は、やがて凪の「創る理由」を変えていく。
だが、Ghostの正体を知ったとき、凪は痛烈な事実と向き合うことになる――
それは、誰よりも自分が信じていた“理想のnagi”こそが、彼女自身を蝕んでいたということ。
SNSの虚像と現実の自己が交差する、心のサスペンス。
青い鳥を探す少女が、自分の翼で現実を飛び立つまでの物語。