あらすじ
「翻訳家になる夢、捨てちゃいないんだから……!」
那珂川由衣(なかがわ ゆい)、26歳。内閣官房勤務の秘書官。
本当は文学を愛し、言葉を紡ぐ翻訳家になりたかったのに、大学の推薦で官僚の世界へ。配属されたのは、書類の山に埋もれるだけの地味な部署……のはずだった。
突然の内示で上司が異動し、権力闘争の渦中に放り込まれた由衣。彼女に与えられた新たな任務は、表向き「国際紛争解決プロジェクトの調査担当」。
しかし、その実態は、国家が仕掛ける壮大な“嘘”を糊塗し、裏交渉や情報操作を担う秘密の役職だった。
「君の翻訳能力が必要なんだ。言葉の裏に隠された、真実と嘘を読み解く力が」
そんな中、プロジェクトに参加してきたのは、国連から派遣された若きエリート調査官、シモーネ・マロッティ。甘いマスクと鋭い洞察力を持つ彼に、由衣は心を揺さぶられる。
彼を欺き、世界を欺き、ひとつの嘘を貫き通す。それが彼女の任務。
一方、大手新聞社に勤める親友の奈央は、ジャーナリストの嗅覚でこのプロジェクトの闇に迫っていた。
友情と任務、真実と嘘の狭間で、由衣の心は引き裂かれる。
この嘘は、世界を救うのか、それとも破滅に導くのか?
地味だったはずの秘書官が、その翻訳スキルを武器に、今、世界の運命を左右する禁断の舞台に立つ――!