あらすじ
かつて神宮ギガントで活躍した天才スラッガー・阿部祐太朗。
しかし、右ひじの故障と度重なるスランプで戦力外通告を受け、妻と息子を東京に残して独立リーグ「西多摩バッファロウズ」へと流れ着く。
名声を失い、家族とも距離ができ、彼の心は折れかけていた。
そんな祐太朗の前に現れたのは、セネガル出身の陽気な助っ人・ボゴサンダ。
不器用ながらも真っすぐに野球を愛する彼の姿勢に触れ、祐太朗は少しずつ心を取り戻していく。
寮のちゃぶ台を囲み、夜ごと語り合ううちに、祐太朗の中で“夢を追う喜び”が再び灯る。
一方で、無口な若手投手・橘権之助や、元寿司職人の捕手・本多との交流を通して、祐太朗は「技術だけではなく心を伝えること」の大切さを学んでいく。
やがて、壊れたはずの右ひじに奇跡が起き、祐太朗は再び打席に立つ。
夏のリーグ最終戦、九回ツーアウト満塁。
息子・祐司がスタンドから見守る中、祐太朗は渾身のスイングで白球を空高く放つ――。
それは、父としての誇りと、人生そのものをかけた“ウイニングボール”だった。
引退後、祐太朗はタクシー運転手として新たな人生を歩み始める。
夜の東京タワーの下、偶然見つけた一球の白球には、息子の名“YUJI”が刻まれていた。
それは、未来から届いたもう一つのメッセージ。
彼は笑ってつぶやく――「これが、俺の人生のウイニングボールだ」と。
家族、仲間、そして夢。
失われたものをもう一度つかみ取る、再生と希望の物語。