あらすじ

冷たい王レオナルドとの30年間の結婚生活で、私は一度も愛されなかった。45歳で死んだその日、感じたのは悲しみではなく、解放感だった。
目を覚ますと、私は海峡都市国家アルカナの香料商フィオーレ商会の娘・リリアーナとして17歳に転生していた。前世の記憶と30年分の痛みを抱えたまま。だが今度こそ、誰かの影で生きるのはごめんだ。婚約者候補として推された貴族バルトロメオを自ら断り、私は新しい道を選ぶ——「香り」で生きる道を。
東方と西方の文化が交差するこの街で、私は庶民向けの「海峡の香りシリーズ」を開発する。ラベンダーと白檀、ローズとウードを融合させた香りは、対立する東西の住民たちの心を和解へと導いた。そして、その香りに魅せられた一人の男性——変装した青年ダミアーノが、実は若き領主だと知る。
「あなたの香りは、この街の未来そのものだ」
彼の優しい言葉に、凍りついていた私の心が少しずつ溶けていく。だが前世の記憶が、触れられることへの恐怖が、私を縛り続ける。30年間、夫の冷たい視線に耐えてきた私に、本当の愛を受け取る資格があるのだろうか?
ダミアーノは、10年前に東方出身の母を亡くし、文化の橋渡しを夢見る領主。彼もまた、傷を抱えていた。私たちは互いの痛みを理解し、香りを通して少しずつ心を開いていく。
だが幸せが近づくほど、前世の影は濃くなる。暗殺者の刃が私に向けられたとき、ダミアーノは迷わず身を挺して庇った。「君を失うくらいなら、僕の命などいらない」——その瞬間、私の凍てついた心が完全に溶けた。
前世で一度も触れられなかった唇に、優しいキスが降りる。30年間求め続けて得られなかった温もりが、今、ここにある。
中央政府からの試練、3人の審査官それぞれの「心の傷」を癒す香りの創作、そして公式婚約——。私はもう、誰かの影ではない。海峡の街で、愛する人の隣で、香り高く生きる自分自身だ。
やり直しの人生で掴んだ真実の愛。それは、もう誰にも奪わせない。

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アルファポリス
アルファポリス2025/11/12
  • 現在の作品【完結】冷たい王に捨てられた私は、海峡の街で薫り高く生きる