あらすじ
――これは報告書であり、同時に警告でもある。
西暦2038年、人類は〈NIF〉と呼ばれる領域を発見した。
そこは物理法則の外にあり、靄は濃く、計測器は常に異常値を示す。
調査局は当該領域で確認された存在を〈侵蝕体〉と分類した。
しかし、分類は暫定に過ぎない。
形は定まらず、認識は揺らぎ、記録は常に不完全。
研究員たちはその曖昧な存在に、別の名を与えた。
V.E.R.I.T.A.S.――Void Entity of Reactive Invasive Threat, Anomalous Species。
現場ではただ「ヴェリタス」と呼ばれている。
この記録は、調査班が初めて〈ヴェリタス〉と遭遇した際の観測と証言をまとめたものである。
読者はここに記された事象を、単なる報告として受け取るべきではない。
それは、侵域に足を踏み入れた者が必ず直面する現実であり、
――生還者が残した、数少ない証言のひとつなのだ。