あらすじ
聖女アリアは、世界に蔓延する『穢れ』を自らの魂に宿る『光の天秤』で浄化するという、過酷な宿命を背負っていた。しかし、その儀式の代償は、アリア自身の『幸福の色彩』と『生の輝き』から差し引かれるというものだ。道具として生きることを受け入れたアリアの魂は、その役割を果たすたびに、重く、冷たい空虚に侵されていく。
彼女を護る守護者ライオスは、古代の契約により、アリアの魂と肉体を共有する『魂の刻印』を持つ。アリアが苦しむたび、彼の鎖骨に刻まれたその印は激しい熱と痛みを発し、ライオスの命を削り続ける。彼にとって、その苦痛こそが『アリアが生きている』という、唯一の絶対的な証であった。
穢れ吸収の儀式が最高潮に達したとき、アリアは自らの命を犠牲にしてシステムを守ろうとする。その自己否定の極致を目の当たりにしたライオスは、守護者としての契約と教会の教義を破り、愛する聖女を強引に奪って逃亡する道を選ぶ。
二人は、教会の猛烈な追撃をかわしながら、これまでアリアが守り続けてきた結界の外の世界——穢れに満ちた辺境の地へと足を踏み入れる。そこで彼らは、自分たちが守ってきた平和が、いかに上辺だけの偽りであったかを知る。
ライオスの刻印が示す『命の期限』と、アリアの魂の空虚。この悲劇的な愛を成就させるには、世界を支配する『穢れのシステム』そのものを破壊するしかない。
これは、自らの存在を否定する聖女が、一途な愛を捧げる守護者と共に、世界の真実と、二人が共に生きるための価値を求めて戦う、切なくも壮絶な魂の逃避行の物語である。