あらすじ
伯爵令嬢のアリアは、「氷の公爵」カシウスとの政略結婚のなかで、夫の不器用な優しさに惹かれていた。しかし、公爵位を狙う叔父の策略で、アリアは「スパイ」の濡れ衣を着せられる。カシウスは弁明に耳を貸さず、妊娠の事実も告げられぬまま、アリアは追放された。
五年後。アリアは辺境の街で、娘のルナと薬師として静かに暮らしていた。ルナは、父であるカシウス譲りの銀髪と青い瞳を持っていた。
ある日、魔獣討伐でカシウスが街を訪れ、二人は再会する。しかしカシウスはアリアを覚えていなかった。彼は五年前、アリアを追放した直後に叔父の策略で重傷を負い、アリアに関する記憶だけを失っていたのだ。
記憶のないカシウスは、なぜか懐かしさを覚えるアリアの薬師の店へ通い、自分そっくりの娘ルナにも強く惹かれていく。アリアは、記憶を失った夫が娘に優しく接する姿に、真実を言えない苦しみを抱えていた。
そんな中、カシウスの騎士が五年前の策略の真相を掴む。時を同じくして、カシウスはルナが持つ古いお守り(かつて彼がアリアに贈ったもの)を見て、全ての記憶を取り戻す。
自分が犯した過ち、無実の妻を追放し、娘の存在も知らずにいた事実。すべてを悟ったカシウスは、五年越しにアリアと向き合う。「すまない」と。
氷の公爵による、妻と娘への本当の「償い」と「溺愛」が、今始まる。