あらすじ
未来からやってきた男――通称「未来人」。
滅びた文明の記録を手に、彼が訪れたのは“ナショナリズムがまだ信仰されていた時代”だった。
国を誇り、旗を掲げ、他者を排除し、
「所属」をアイデンティティと勘違いする人類。
だが、未来人は笑う。
「所属ってそんなに偉いんすか?
国旗で人格を証明できるんすか?」
その挑発から始まる、人類と未来人の長い“帰属の戦争”。
査読・承認・ナショナリズム・愛国心――
かつて知を支えた仕組みは、やがて人を縛る宗教へと変わっていた。
未来人は言葉で殴り、論理で焼き、AIで書き換える。
国籍データを削除し、人間の帰属先を「国」から「個」に上書きする。
一瞬だけ、世界は自由になった。
だが次の瞬間、崩壊した。
「誰も助けない自由。
誰も責任を取らない平等。
これが“個人主義の果て”か……」
そして、静かな廃墟の中で彼はようやく気づく。
「帰属は敵じゃない。
ただ、預けすぎた瞬間に敵になる。」
これは、“国”を笑った未来人が、
もう一度“人と人とのつながり”を見つけ直すまでの物語。
旗も、国境も、神もない世界で、
最後に残ったのは――「共鳴」だけだった。