あらすじ
かつてこの森は、人と共に生きていた。
だが、人間の強欲が森を切り裂いたとき、森は三人の魔女を生み出した。
彼女たちは森を守るために呪いを放ち、やがて人々から“災厄”と呼ばれるようになる。
森番の老夫婦に拾われ育った少年・レオン。
彼は森と共に生き、森を愛していたが、村人たちは魔女を恐れ、森を忌んだ。
ある日、村長は宣言する――
「魔女を倒した者には、富と栄誉、そして娘との結婚を与える」と。
森を救い、両親を守るために、レオンは旅立つ。
その手に握られているのは、両親が託した“森の心”と呼ばれる琥珀のチャーム。
旅の途中、彼は三つの影と出会う。
盲目の猟犬――視覚を失った代わりに、真実の匂いを嗅ぎ分ける獣。
言葉を話す鴉――かつて人間であり、魔女の呪いに囚われた知者。
傷ついた山猫――恐怖を抱えながらも、戦いに怯えることを知らぬ戦士。
だが彼らの“救い”には、代償が必要だった。
レオンは仲間を助けるたびに、自らの“五感と感情”を失っていく。
そして、たどり着いた“茨の城”。
そこにいた三人の魔女は、恐ろしい怪物ではなく、
かつて森と村のために祈りを捧げた“守護者”の姉妹だった。
真実を知ったとき、レオンは剣を捨てる。
だが、村長は彼を裏切り、魔女たちを滅ぼそうと兵を差し向けた。
仲間たちは一人また一人と散っていき、
森は再び血と火に包まれる。
残されたのは、森の呪いと、赦しを信じた青年の心。
彼は最後の祈りを胸に、魔女たちと共に森の奥へと消えていく。
「英雄の名を刻むのは、人の言葉ではない。森の記憶だ。」
――茨に覆われたこの地で、今も語り継がれる。
それが、《茨の王国記》。