あらすじ
気づいたら、知らない世界にいた。
太陽は昇らず、夜も来ない。
そして人々は、祈ることでしか生きられない。
記憶を失った私は、ある巫女──供珀(くはく)に拾われた。
この世界には神様がいるらしく、それを裏付けるように彼女は自分の腕を供物として捧げた。
そして彼女は私を生贄と呼んで、壊れた神棚の前で毎日祈りを捧げている。
それがこの世界の日常。
神様は現実にいて、人を導くことも食らうこともある。
祈りも信仰もそのどちらにも繋がっている。
そんなある日、私は供珀さんと廃れた神社を訪れる。
そこで出会ったのは、祈られることも信仰を欲することもない神様だった。
人のために在りながら、誰にも信じられなくなった存在。
気づけば私は、その神様に同情していた。
それが、祈りのはじまり。
そして、神様を終わらせる祈りの第一歩だった。
この世界で、祈ることは生きること。
けれど、祈れば誰かが消える。
私はそれでも祈る──それが私の理想だから。