あらすじ
北の果て、霧吹き山の頂に、古の塔があるという。
それは「霧の塔」と呼ばれ、幾度となく人を呑み、二度と返さなかった。塔を包む霧は生きているとも、死者の息吹が渦を巻いているとも言われる。誰も真実を語れぬまま、時だけが過ぎた。
だが今、世界は再び破滅の影に覆われようとしていた。伝説の禁呪〈ヨパクトルゲルペス〉――大地の理を裏返し、あらゆる命を霧と化すという魔法。その完成を目前に、塔の主・妖術師ザイラルが目覚めたという報が届いたのだ。
あなたは、王国より密命を受けた一人の探索者である。
名も階級も捨て、ただ一人、霧の塔に挑む者。
目的はただ一つ――〈ヨパクトルゲルペス〉を阻止し、この世を覆う霧の根を断つこと。
塔の周囲は常に濃霧に閉ざされ、昼なお暗い。鳥も鳴かず、虫さえ息を潜めている。
それでも、あなたは進まねばならない。
なぜなら、塔が完全に目覚めるその日には、王都すら霧に呑まれるからだ。
噂では、塔は意志を持つ。
階層ごとに形を変え、侵入者を惑わせる。
東へ進めば同じ場所に戻り、西へ逃げれば別の世界に落ちるという。
中には、長い時を生き延びた者たちが「石像」や「影」となって彷徨っているとも。
あなたは腰の短剣を確かめ、手に灯した松明を掲げた。
冷たい霧が肌に絡みつく。塔の門は軋む音を立てて、ゆっくりと開いた。
奥は闇。だが、その闇の奥に、微かな光が見えた。
――あれが、希望なのか、それとも死の光か。
あなたの冒険は、ここから始まる。
踏み出す一歩が、運命を決めるだろう。
東へ行くか、西へ行くか。北へ進むか、南へ戻るか。
霧の塔は沈黙している。だが、その沈黙の奥で、確かに笑っている者がいる。
あなたは霧の中へと消えていった。
風が止み、鐘が鳴る。
――誰も知らぬ、迷宮の音が。
さあ、【1】へ進みたまえ!