あらすじ

列車見張員として旗を振り、安全を守ってきた語り手が、かつての現場を振り返る記録文学的独白。 彼が扱ったのは赤旗と白旗のみ――赤は列車を止め、白は安全を伝えるためのものだった。旗による合図は人と人の信頼に基づくもので、無線や機械よりも確実に命を繋いでいた。 だが時代は進み、無線や合理化が進むにつれ、白旗は姿を消した。視線を交わし、頷き合うことで成立していた「安心」は、数字上の「安全」に置き換えられてしまう。 今や旗も消え、退避完了は無言のジェスチャーに変わった。 それでも語り手は、かつての白旗を心に掲げ続ける。誰も死なせぬために、誰も忘れぬために――見えぬ旗を振り続ける、その姿に「人間を信じる力」の記憶が息づいている。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2025/11/11
  • 現在の作品「鉄路断章」第1話「白旗喪失論」