あらすじ
「……視えました。今夜、あなたの『一番大切なもの』が失われる、と星が告げています」
都内で立て続けに若者の失踪事件が起きていた。被害者たちは、失踪直前にあるアンティークショップ兼占いの館『黄道(こうどう)』を訪れていたこと以外、共通点はなかった。
警視庁捜査一課の若手刑事・犬上歩は、捜査の行き詰まりに苛立ちながらも、少女・観測院暦と出会う。儚げな美少女で占い師を名乗る彼女は、淡々とタロットカードを並べ、難解な言葉で未来を告げる。
「犯人は、『失われたもの』を求め、次の円環(えんかん)へ向かいます」
犬上は半信半疑ながらも、暦の予言の通りに事件の手掛かりが次々と明らかになっていくことに驚かされる。しかし、暦の裏の顔は冷徹だった――。膨大な観察力と確率論によって、彼女は人間の行動の「最も発生確率の高い未来」を読み取り、占いという演技を通して人々を導いていたのだ。
真実と仮面、偶然と論理。すべての「運命」が計算で覆される時、少女の神秘と冷徹に二度騙される――。