あらすじ

夜と朝のあいだに、世界の継ぎ目がある。 そこでは風が逆に吹き、影が自分の名を呼ぶ。人々はそこを「霧の境界」と呼び、決して足を踏み入れてはならぬ場所とした。だが、あなたは――ある理由で、その霧の中に入った。 理由は思い出せない。 記憶は霧とともに薄れ、名前さえ霞んでいる。あなたが覚えているのは、ただ一つ、「塔が呼んでいる」という感覚だけだった。夢の中で何度も見たその塔。頂は雲を突き抜け、根はどこまでも地の底へと伸びているという。誰も近づけず、誰も帰らない。だが、そこに“自分の居場所”があると、あなたはなぜか確信していた。 霧の中を進むと、音が吸い取られる。足音も心臓の鼓動も、やがて沈黙の中に溶けてゆく。やっとのことで目にしたのは、一枚の扉。塔の入口だ。鉄でも石でもない、曖昧な材質。光と闇の境界そのものが形を取ったような門。あなたが触れた瞬間、扉は音もなく開き、内側から微かな光が漏れた。 そこに誰かの声がした。 「ようこそ、まだ名を持たぬ者よ。お前は塔に選ばれた」 声の主は見えない。けれども、塔全体がその声で息づいているように感じられる。あなたは無意識のうちに一歩、また一歩と足を踏み入れる。その瞬間、扉が閉じ、霧が外界を遮断した。もう、戻る道はない。 塔の中には二十八の試練が待ち受けるという。 それを越えた者は「主」となり、世界を新たに創る力を得る。 だが、塔を支配する者は同時に、塔に囚われるという。 この物語は、あなた自身の選択で進む。 一行一行が分岐し、あなたの運命を定める。 死ぬことも、生まれ直すことも、あなたの手の中にある。 やがて霧の塔の果てに辿り着いた者は、別の世界――鏡の都へと導かれる。 そこでは現実と幻想、自我と他者、過去と未来が反転する。 塔を出ても、塔は終わらない。 なぜなら、塔とは世界そのものであり、 世界とはあなたの内側にある塔だからだ。 ――霧が晴れるとき、 あなたは誰としてそこに立っているだろうか。 さあ、ページを開け。 すべてはあなたの一歩から始まる。 さあ【1】へ進みたまえ。

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小説を読もう2025/11/10
  • 現在の作品霧の塔の主 ゲームブック