あらすじ

印象に残りにくい顔。 それがその男の特徴といえば特徴だった。 ヒューマンにエルフにドワーフ、それに獣人など雑多な人種が行き交う街では特に目立つことはない。 強いていうならば、時折見せる視線の動きが普通の者でないことを物語っている。 高位の冒険者や練達の武芸者のみが辛うじて気づくであろうその鋭さは、その男の真の職業を物語っているといえよう。 冒険者、それとも傭兵か。 そう一括りにすれば、日常から命のやりとりを行っている人物だと思える。 しかし、人と接する時の弛緩した表情、それに装備を見ればどことなくおかしいことに気づく者もいるだろう。 この男は子どもや老人に対して屈託のない笑顔を見せる。そこには傭兵がまとう殺伐とした雰囲気も、その日暮らしな冒険者の刹那さも見受けられない。 そして魔物や敵兵を相手にするには明らかに不利だといえる刃渡りの短いナイフをぶらさげ、防御力を期待できない軽装に身を包んでいた。 人畜無害、素朴な青年。 その印象が偽りであることを知る者は少なかった。 これはチートなしで異世界に召喚され、名を馳せることなく世界を救うひとりの専門的冒険者(スペシャリスト)の物語である。 ハードボイルドな主人公(シリアスターン)が世の不条理(ギャグターン)に翻弄される異世界奇譚開幕。

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カクヨム
カクヨム2024/05/09
  • 現在の作品冒険者ギルドの特命執行官