あらすじ
「……あっ!」
おれは階段の途中ではたと立ち止まり、顎に手をやった。
そうか……わかった。わかったぞ……。
おれの住まいは、四階建ての古びた団地だ。
こないだの夜のこと。いつものように階段を上りきり、廊下を少し進んだときだった。ふと妙な違和感に襲われて、おれは足を止めた。
何かがおかしい……。
おれはそう思い、周囲をじっくりと見回した。だが、特に変わった様子はない。黄ばんだ蛍光灯の鈍い光、煤けた壁、汚れた手すり、いつもどおりのくたびれた廊下だ。ただ、以前にも同じような感覚を抱いたことがあった。
何かありそうな気がしたが……。
首を傾げたが、結局、仕事の疲れのせいだと自分を納得させ、おれは考えるのをやめた。
そして今夜。そのことをふと思い出し、考えながら階段を上がっていたら気づいたのだ。