あらすじ
天竺・須弥山を拠点として君臨する神仏の宗門は、外界の神々からの勢力におされ、その栄華を蝕まれつつあった。この負の状況を打開すべく、とある任務を託された毘沙門天が、救世の旅路につき、天竺から倭の国へシルクロードを駆け巡る!
その一方では、仏世界最高の尊格たる五智の如来たちが、影でとある計画を練っていて…………。
須弥山にて護法に精魂尽くす神々は何を思い、砂漠を進む毘沙門天は各国さまざまな他宗派の出会いに何を見、策略と裏切りを越えた先に待ち受けるは幸福たる極楽か、はたまた焦熱たる地獄か……。
生きとし生けるものの信仰の内に生き残ろうとした、神仏による美しく優しい戦いの物語。そしてこれは、最強武神・毘沙門天が紡ぐ新しきインド神話にして新しき仏教霊験譚、切なくも甘き愛のストーリーである。
✴︎戦記と題しておきながら、戦闘シーンはあまりありません。じゃあなにがあるんじゃっていう話ですが、陰謀、策略、思惑……、入り乱れる因果応報的情景(なんやねんそれは)の描写に力を注いでおります。あとお色気少々、いやふんだん。
✴︎下ノ巻の第一禅天ではちょっと過激めの恋愛要素含みます。
✴︎近況ノートにイラストあるます。
<注意>
※史実ではありません。あくまでも、仏教説話をモチーフとしたフィクションです。
※主に、インド・中国・日本を舞台に書いています。
※また、作者に宗教批判・差別に関する意図は一切ありません。
※性描写や暴力描写等が含まれます。
※ストーリーのつじつまを合わせるため、実際の仏教思想に沿わない場合がございます。神仏ともにあくまでも人間らしく描いておりますが、これも作者が仏教・インド神話を好んだがゆえの性癖と思っていただければ幸いです。
※ぜひ「この物語、超絶意味わかんねぇ」と感じながら、神仏のロマンをお楽しみいただけると幸いです。
【上ノ巻あらすじ】
須弥山にて猛威を振るう仏の宗門、一方マンダラ山ではデーヴァの神々が婆羅門の宗派を建てて仏法と対立していた。
やがて、仏法は劣勢に追いやられ、これに負けじと立ち上がった五智の諸如来があらぬ奇計を密かに企て始める。五大明王の火焔による神々デーヴァの一掃だ。これらの造立にあたり釈迦如来の浄土・霊鷲山の片隅を借りて、およそ二劫の歳月をかけて着々と成就を目指していた。
このことを神々の中で唯一認知していた帝釈天は、破滅への進行を何とか阻止せむと対策を練るに、そのためには仏法伝播をもって集められる数多くの光明という資源を用い如来鎮圧の武器とせねばならなかった。
一人では手に負えぬと悟った帝釈天は、当時異彩を放っていた毘沙門天と接触を果たし、この武神に資源収集の任を命じる。
かくして毘沙門天は、仏法の伝道活動を行いながらシルクロードの大海を渡ることとなった。于闐国・震旦国・倭国を行脚しながら、明王火焔に勝る武器を創り上げていく。
旅路、于闐では「国の祖」となり、震旦では「神の友」となり、倭国では「人の親」となって布教に専念する毘沙門天。諸国の土を踏み締めて何を学び何を思うのか、果たして光明収集の成果やいかに……。
さて毘沙門天が倭国までたどり着いて「そろそろ帰ろかぁ〜」ってなってた時期、須弥山に最大の危機が訪れる。護法の王たる帝釈天が、不本意ながらも婆羅門界・マンダラ山へ降ったのだ。
その頃にはすでに、帝釈天と護法の仲であった梵天も諸仏を身限り、婆羅門宗最高神・ブラフマーとしてマンダラ山にこもっていた。五智に対し沸々と恨みを抱えるブラフマーは帝釈天に須弥山崩しを命じ、明王像破壊の上如来破滅を企んだ。
本来光明収集は諸仏の怒りを鎮め、衰えた仏界の神威復活と両界不仲の修正を図ったものであったが、それも邪計とみなして婆羅門界による仏界の完全なる掌握を狙うに至ってしまった。
これまた渋々と引き受ける帝釈天、しかし彼は未だ諦めずして何とか仏菩薩を神々の手から逃れさせようと一計練る。
さまざまな思惑の交差する二つの世界、毘沙門天はそこに生じた亀裂の補完に間に合うことができるのか——。
【下ノ巻あらすじ】
時は、ヴェーダ期よりもはるか昔。
夜叉王たる毘沙門天の当時は、デーヴァ神族の一員としてブラフマーに仕えるマンダラ山の住人であった。
とある折に勃発したランカー島とマンダラ山との大戦(第一次ラークシャサ・ユッダ)において、夜叉羅刹鎮圧軍の将として毘沙門天が出陣する。
そして戦地にて出会った夜叉女・吉祥天を一目見て、恋に落ちるのだった。矛を交えながらの求愛を重ね、毘沙門天はしだいに吉祥天の警戒心をほぐしていく……。
毘沙門天は、吉祥天への恋のために何を犠牲にしたのか、吉祥天への愛のためにいかなる過ちを犯したのか。
第二次ラークシャサ・ユッダを経て五智如来が明王造立に着手するという最悪の事態となっている現在、それを招くこととなったいにしえの因、その全貌が明らかとなる。すべては、花かんざしから始まった——。
☆第二章(第二禅天)以降、100話のつづき
行きは苦難の連続・東方伝道、帰りも帰りで大変だった!?