あらすじ
祖母の遺品整理で見つけた、一枚の美しい和服。それは、祖母のものでも、誰のものかも分からない、謎めいた着物だった。好奇心からその着物に袖を通した主人公は、鏡に映る、普段とは違う自分の上品な姿に陶酔する。
しかしその夜から、彼女は奇妙な夢を見るようになる。夢の中の彼女は、大正時代を生きる「雪子」という名の令嬢となり、悲恋の末に自害を強いられるという、あまりに鮮明な過去を追体験する。
やがて、夢の中の出来事は現実を侵食し始め、彼女の体は、着物に宿る雪子の魂に乗っ取られていく。八十年の時を超え、現世に蘇った雪子の目的は、かつて愛した人の元へ行くこと。それは、主人公の体を使い、再び「死」を遂げることを意味していた。