あらすじ
自称『ネットミーム探偵』の神崎ケイは、万年床のアパートでネットの怪異を追う日々を送っていた。ある日、インフルエンサー志望の女子大生・水野ユカリが「サークルのPR動画が『呪いのミーム』に汚染された」と駆け込んでくる。そのミーム『虚無の目』を認識すると「エモい感情を失う」という。実際に動画を編集した高橋は「エモくない」という言葉を残して倒れていた。 動画には、Z世代には理解不能な『草超森雨土www』など、10年以上前の古いネットスラングが不気味な『目』の図形と共に一瞬映り込んでいた。 ケイは、サークルメンバーの江口、里美、ユカリを容疑者として、編集PCのデジタル・フォレンジック(デジタル鑑識)を開始する。 捜査の結果、浮かび上がった『犯人』は、高橋自身がPCに接続していた、10年以上前のタコ型ウェブカメラだった。それは『Tako_Luka』というデスクトップ・マスコット型マルウェアに感染しており、「動画レンダリング時に、内輪の古いミーム画像をランダムで挿入する」という悪質な『呪い』を内包していた。 過労と、心血を注いだ『エモい』作品を『クソ寒い』ミームに汚染されたショックで倒れた高橋。呪いの正体は、新旧ミームの世代間ギャップが生んだ、悲劇的なデジタルの事故だった。