あらすじ
21歳、大学中退。朝起きられず、単位を落とし、留年して、気がつけば退学処理されていた。
朝柄玄樹(あさがら・くろき)は、行き場をなくした“元・昼の人間”だ。
ゲーム三昧の夜型生活に浸かりきり、気づけば仕送りも打ち切り。
しぶしぶ応募した深夜コンビニのバイト面接で、彼はこう言われる。
「――はい、じゃあ採用ね」
あっさりすぎる即採用。履歴書を袋から出す間もない。
店長いわく「うちはクセ強いから、常識ある子の方が助かる」とのこと。
だがその“クセ”の意味を玄樹が知るのは、初出勤の夜だった。
彼の新しい職場――コンビニ「ホット・ステイション24」は、深夜だけ少し“世界の周波数”がズレている。
常連客はみんな一癖あり、店員はどこか常識が通じない。
謎のオーナーは月に一度だけ姿を見せ、来るたびにトラブルを引き起こし、女子大生アルバイトは「この棚、宇宙の法則で並んでるんだよね!」と真顔で言う。
外人バイトは日本語が完璧すぎて逆に怖く、メンヘラ系の同僚は時おり泣きながらおでんを並べている。
ただの夜勤バイトのはずなのに、朝を迎えるたび、玄樹の世界は少しずつ壊れていく。
「このコンビニ、どう考えてもおかしい」
そう思っても、人生に未練のない彼はツッコミながら笑うしかない。
異常を異常として処理せず、ノリと皮肉でやり過ごすのが彼の唯一の処世術だ。
“まともな奴ほど早く辞める”――
誰かがそう言っていた。けれど、玄樹はなんだかここを気に入ってしまったらしい。
肌に合わない現実より、少し狂った夜の方が落ち着くのかもしれない。
今日もまた、声にならない客、意味不明な注文、そして常連たちの妙な人生相談が始まる。
周波数のズレた人間たちの、ツッコミとナンセンスにまみれた深夜コメディ。
『深夜のコンビニ、今夜もバッド・チューニング!』
――この店のチューニングが合う日は、きっと来ない。