あらすじ
雨の中、野良猫のように彷徨っていた陽向を助けたのは、
無邪気で、そして少し残酷な少女。
そんなある日、家の温度を知らない陽向と雪乃が、
互いの体温で、静かに心を重ね始める――。
感受性豊かな陽向と、感性の乏しい雪乃。衝動に生きる春。
傷と優しさで結ばれる歪で純粋な少女たちの物語。
物語はゆっくり展開していきます。
登場人物
高坂 陽向(こうさか ひなた)
中学三年生。
無表情で淡々としており、何を考えているのか分からない少女。
母親から虐待を受けて育ち、感情を押し殺して生きてきた。
人の痛みや寂しさには敏感で、誰かを突き放しながらも、本当は誰よりも優しい。
雪乃との出会いによって、閉じ込めていた感情が少しずつ揺らぎ始める。
綺咲 雪乃(きさき ゆきの)
陽向と同じ中学三年。
黒髪の美しい少女で、冷静で物静か。
感情を抑えて生きており、常に笑顔を保つが、その奥は読めない。
生徒たちからの好意を穏やかに受け流すが、誰にも心を開かない。
しかし、陽向に対してだけは「何か」を感じ、彼女の中の“痛み”に惹かれていく。
彼女にとって陽向は、理解ではなく――“救済”のような存在。
高嶺 春(たかみね はる)
陽向と同い年で、別の学校に通う少女。
明るく無邪気な性格で、いつも笑顔を絶やさない。
しかしその裏では、強い不安定さと独占欲を抱えている。
家出していた陽向を助け、家に迎え入れた過去を持つ。
それ以来、陽向に深い愛情を向けているが、それは「優しさ」と「束縛」が混ざり合った複雑なもの。
陽向にとって春は“救い”であり、“呪い”でもある。
*カクヨム同時掲載