あらすじ
語りは火だ。
沈黙でも届く。
そして、語った本人はだいたい胃が痛くなる。
紅蓮王国では、語り手が風に向かって記憶を語る。
それは精霊場に届き、構造を揺らす。
つまり、語るだけで世界がちょっと変わる。
すごい。でも、ユグ・サリオンは語るたびに腹を押さえてうずくまる。
肩に乗る精霊ルクスは、毎回「またか…」という顔で羽を震わせる。
一方、帝国は語りを「幻想」と断じた。
「語り?そんなもの、構造で遮断すればいい」
そう言った将軍レオニスは、兵士の人格ごと削り落とした。
記憶遮断、感情封鎖、自己認識の希薄化──それ、兵士というより家電では?
語りに怯える完璧魔術士イルミナ。
語りの揺らぎを観測する魔術士リュミナ。
語りの倫理を守る参謀ミルフィ。
設計図に悩む副官シュヴィル。
そして沈黙の英雄レオニス。
語りの火は、彼らの構造を静かにほどいていく。
語りは、誰かの痛みに触れたとき、灯る。
誰かが語らなくても、誰かが沈黙していても、
語りは、そこにある。
そして、世界は少しずつ変わり始める。
| 語りに触れるか、構造に飲まれるか。
| あなたの沈黙にも、火は灯るかもしれない。