あらすじ
2025年5月、中学2年生の甘夏は、亡き母の写真に挨拶をして家を出る。隣に住む幼馴染のハッサクのカバンには、小学生の頃にもらったエリマキコアラのキーホルダーが肌身離さず付いていたが、甘夏はハッサクとの長年の関係が惰性ではないかと疑問を抱き始めていた。
ある日、クラスメイトに誘われた新テーマパーク「ノスタルジックワールド19XX」(ノスタワールド)へ、甘夏はハッサクと二人で行く約束をする。しかし、ハッサク自身、誘った理由が曖昧だった。
放課後、二人はノスタワールドへ。日本の昭和(198X)ゾーンのメタバースアトラクションで80年代の流行を体験した後、展示コーナーのウォークマンの前で、80年代ファッションの女性スタッフにシンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」を聴かされる。その瞬間、甘夏の意識は遠のいた。
気づくと甘夏は1984年6月、見知らぬ和室で目覚め、この世にいないはずの母親と再会する。混乱の中、学校へ行くと、同じくタイムトラベルしたハッサクと再会した。ハッサクの家では、元の世界にいるはずの妹・蜜柑が流産で存在しないと聞かされ、二人はパラレルワールドに迷い込んだと確信する。
1984年の生活に戸惑いながらも、二人は交換日記などで連絡を取り、周囲に溶け込もうとする。甘夏は、母親との再会やハッサクと過ごす時間に心地よさを感じ、元の世界に戻るべきか迷いが生じる。一方、ハッサクは妹・蜜柑の存在を気にかけ、元の世界への帰還を強く望んでいた。
11月、ハッサクは甘夏を多摩動物公園に誘い、コアラを見た帰り道、売店でエリマキコアラのキーホルダーを見つける。ハッサクはそれを二つ購入し、一つは蜜柑にあげたかったと告白する。甘夏は、ハッサクが帰る決意を固めたことを悟った。
クリスマスイブの日、ハッサクは甘夏を秋葉原に誘い、ウォークマンとシンディ・ローパーのカセットテープを買って、元の世界に戻る決意を伝える。団地の階段でじゃんけんゲームをし、ハッサクが勝ったことで、二人一緒に2025年に戻ることを決める。しかし、真夜中、公園でウォークマンで曲を聴いてもタイムトラベルはうまくいかない。甘夏は、ハッサクだけを元の世界に戻すため、ハッサクにだけは告げられないある行動に出た。
翌2026年4月、ハッサクは無事に2025年の世界に戻っていた。妹の蜜柑も存在し、団地も新しくなっていた。しかし、甘夏は周囲の記憶から完全に消え、存在を示す手がかりは失われていた。手がかりを求めノスタワールドを訪れたハッサクは、再びウォークマンで「タイム・アフター・タイム」を聴くのだった。