あらすじ
市立南通り図書館の閉館間際、返却に駆け込んだ歌い手・美音と司書・朔也は、迷い込んだ三毛猫を段ボールで静かに誘導しながら、ぎこちない会話を交わす。美音はその日、相方から別ユニット結成を告げられたばかり。プレッシャーに弱い彼女を、他人の成功を素直に喜びつつ協力へ踏み出すのが遅い朔也、忍耐強いコインランドリー店主の朋葵、公正さと自分の成長への感謝を大切にする花屋の葉香が、具体的な手と工夫で支える。
三毛の喉音を録音してメトロノーム代わりにし、真夜中の「まわる月」で、乾燥機の低音と砂時計を相手に歌の“洗い直し”。失恋の塩気を笑いに変えるメロディが生まれ、やがて児童コーナーの読み聞かせで新曲『過ぎ去る季節』を披露。猫の喉音のイントロ、カスタネット一拍、子どもたちの手拍子——生活の音だけで出来た伴奏が、会場をやわらかく結ぶ。