あらすじ

世界は、かつて光に満ちていた。 だが、その光はあまりに強く、やがて万物を焼き尽くした。 祈りの果てに残ったのは、神の沈黙と、灰燼の大地。 三つの大陸~人の王国が支配する第一大陸、獣と亜人が暮らす第二大陸、そして魔人たちが蠢く地。 その中心に聳える王都アルディアは、聖光教が治める“信仰の塔”の都である。 だが、その秩序の光は、すでに腐り始めていた。 十年前、記憶を失った男がこの世界に現れた。 名をラゼルという。 どこから来たのか、何者なのか――誰も知らない。 彼自身さえも。 魔法を持たず、信仰にも縋らず、ただ剣だけを生きる術としてきた。 「生き残る。それだけで充分だ。」 そう呟く男の瞳は、まるで灰のように濁っていた。 ある日、王都の大聖堂で“異端審問”が行われた。 罪なき者が炎に焼かれ、神の名のもとに血が流れる。 その理不尽に剣を抜いた瞬間――ラゼルは“秩序”の敵となる。 ギルド、教会、国家。 それぞれが異端を狩り、記録を改竄し、“転生者”という存在を抹消していた。 やがてラゼルは、ひとりの魔法師の少女・セナと出会い、 真実へと至る地下の迷宮〈灰記録庫〉へ足を踏み入れる。 そこに待つのは、世界の創造と破滅を繋ぐ碑文――“灰燼の契約”。 それは神々と人類の間に交わされた、最初にして最後の約定だった。 ラゼルは知る。 自らが「外の世界」から流れ着いた理由を。 この世界が、祈りによって終わり続けていることを。 滅びの上で、人はなお祈る。 赦されぬことを知りながら。 そして――灰は誓う。 再び光を求めぬことを。 これは、神なき世界で“生きる”という罪を背負った者たちの物語。 破壊と信仰の果てに、人が最後に結ぶ〈契約〉の記録である。

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小説を読もう2025/10/21
  • 現在の作品灰燼の契約