あらすじ
――プロローグ――
夜と朝のあわい。
世界がまだ眠りと覚醒の境目で揺れている時間。
部屋の片隅に射し込む光が、まるで誰かの息づかいのように淡く揺れた。
埃が静かに舞い、影がゆっくりと
形を変えていく。
その光景の中で、私はただ――
“生きているふり”をしていた。
目を開けても、心はまだ閉じたまま。
昨日の痛みも、今朝の空虚も、
どちらも私の中で混ざり合って
重たく沈んでいく。
「今日も、生きてる。」
そう呟く声は、自分でも驚くほどかすかだった。
けれど、その声が確かに存在することが、
この世界との唯一の繋がりのようにも思えた。
誰かに必要とされたい。
誰かの心に触れたい。
――たったそれだけの願いが、どうしてこんなにも遠いのだろう。
満たされない心を抱いたまま
私は今日も歩き出す。
薄い光の中に、ほんの少しの
温もりを探しながら。
それがたとえ、
また夜の孤独に溶けて消えてしまう
希望だとしても――。