あらすじ
戦時下の東京帝国女学院三年生、藤己澄子は、空襲や勤労奉仕で日常が奪われる中、「秋は夕暮れ」という美意識と大村勇太郎への想いを胸に「文学」として生きる。勇太郎が九州へ転属する際、「笑っていてくれ」という言葉を残し、澄子は彼の約束を守ろうと涙をこらえる。
卒業の日、空虚な住所へ最後の手紙を風に放ち、厳しい戦時を乗り越える。終戦後、数年ぶりに勇太郎から「生きて戻った」という短い手紙が届き、二人は上野の噴水で再会を果たす。茜色の夕暮れの中、「秋は夕暮れ」という言葉が、遠回りして届いた二人の愛を静かに結びつけた。