あらすじ
「お前には華がない。地味すぎてギルドの看板に傷がつく」
理不尽な理由で暗殺ギルドをクビになったレン。
彼は気配を完全に消すユニークスキル【朧(おぼろ)】を持つギルド随一の暗殺者だった。
裏稼業から足を洗い、前世の記憶を頼りに長年の夢だった喫茶店「木漏れ日」を開いたレン。
豆を焙煎する香ばしい匂い、丁寧にいれたコーヒーが立てる心地よい音。
血なまぐさい過去とは無縁の穏やかな第二の人生が始まるはずだった。
――そう、あの男が現れるまでは。
「こんなコーヒーは初めてだ。天国がここにあったとは」
店に毎日入り浸るようになった謎の銀髪美青年クロード。
人好きのする笑みを浮かべ甘い言葉をささやく彼に、人付き合いが苦手なレンは戸惑うばかり。
だがその出会いをきっかけに、レンの静かな日常は少しずつ色づき始める。
これは影が薄い元暗殺者と正体を隠した情報屋ギルドマスターが、一杯のコーヒーから始まる甘くて香ばしい恋物語。
【登場人物紹介】
◆茅野 蓮(かやの れん) / レン
本作の主人公。前世は日本の図書館司書だったが異世界に転生した。
存在感が極端に薄くなるユニークスキル【朧】の持ち主。その能力を買われ暗殺ギルド「黒曜の牙」に所属していたが、地味すぎるという理由でクビになる。
長年の夢だった喫茶店「木漏れ日」を開き穏やかな生活を望む。自己評価が低く控えめな性格。コーヒーを淹れることを心から愛している。黒髪に黒い瞳。
◆クロード
王都の情報屋ギルド「天秤の銀匙」のマスター。
輝くような銀髪に紫色の瞳を持つ誰もが見惚れる美青年。
偶然見つけた「木漏れ日」のコーヒーの味に感動し、毎日開店から閉店まで入り浸る常連客となる。
飄々としていて人懐っこいが、その瞳の奥には底知れない何かを隠している。レンに強い興味を示し積極的にアプローチを続ける。その正体には大きな秘密がある。
◆ヴォルフ
レンがかつて所属していた暗殺ギルド「黒曜の牙」のマスター。
派手で見栄えのする仕事を好み、実力はあっても地味なレンをクビにした張本人。短絡的で自己中心的な性格。