あらすじ
塔という胎内に留まり続けた少年が、生きながらにして二度生まれ変わる物語。
窓辺から見える灯台をたった独り眺めながら、ただ時が過ぎるのを待つだけの少年レノ。
両親はおらず、物心つく以前から朽ちかけた塔で暮らしている。
風に戯れながら歌う鳥が羨ましく、水面に映る月の影を数え、雪に染まる大地を怨めしく思う。
朽ちかけた塔より先に死ねるだろうかーーー。
なにも変わらぬ退屈な日々のなか、その人はやって来た。
全身に酷い大火傷の痕が残り、記憶と両目の光を失った青年、翠雨(スイウ)。
月夜に聴こえる祈りの歌に導かれ、たどり着いたのがレノの塔だった。
翠雨と出逢ったことで、窓辺から見える世界に惹かれるレノ。
半年ほど経ったある日、変えられぬ日常を抜けだす瞬間がやってきたのだった。