あらすじ
魔物が跋扈し、神々の気まぐれに運命を弄ばれる、ろくでもない世界。
ここでは、人の一生は生まれた時に授かる「神の印(スティグマ)」によって、その価値が決まる。
【剣聖】【大賢者】――そんな輝かしい“印”を持つ者が英雄となり、富と名声を得る。
俺の右手に刻まれた“印”は、【複製】。
ただ、そこにあるモノの形を、寸分違わず“写し取る”だけの、何の役にも立たないハズレの印。
俺は、スラム街の片隅で、日銭を稼ぐ“彫師”として生きるしかなかった。
しかし、ある日、俺は気づく。
俺の力は、ただモノの形を写すだけじゃない。他人の身体に刻まれた、あの神聖不可侵の**“神の印”さえも、寸分違わず複製できる**ということに。
そして、ただ複製するだけじゃない。俺自身の血肉をインクとして練り込み、その“印”の構造を理解し、神でさえ成し得なかった“改良”を施すことさえ可能だと知ってしまった。
――それは、神への冒涜。世界の理を根底から覆す、禁忌の技術。
依頼人は、絶望した者たちだ。
ハズレの“印”に泣く少年、呪われた“印”に苦しむ少女。
俺は、彼らの身体に神の印を上書きし、新たな運命を刻みつける。
人々は、俺をこう呼ぶ。
神にさえ見捨てられた者たちの、最後の希望――あるいは、神罰を恐れぬ最悪の異端者。
呪印の彫師と。