あらすじ
『狼王』の異名を取る、勇猛果敢で冷酷無比なアズレア国の国王軍軍団長アダン=ルディアスが、伴侶として選んだ相手は、『傾国の愛人』として悪名を馳せるキリヤ=アガープという男だった。アダンが治めるハウティアの、『狼の森』
の小さな教会で、2人は婚約の儀を交わし、1年後の結婚に向けて一緒に屋敷で暮らし始める。キリヤはグロキアという国のジムトという領主に幽閉され、愛人とされていたのをアダンに保護されたのだった。しかし、婚約してからも、指一本触れて来ようとしないアダンにしびれを切らし、キリヤが問いただすと、「自分は誰とも結婚する気はない、1年後に自分を振って、出て行って欲しい」と言われる。時を同じくして、キリヤのところにアズレア国の国王で、アダンの弟でもあるアサレオ国王が訪ねてくる。アサレオ国王はアダンが持つ狼に変身できる能力を絶やさないため、キリヤにアダンと別れて欲しいと懇願する。キリヤはそれを承諾し、婚約を破棄したあかつきには、自分の願いをひとつだけ叶えて欲しいと約束する。キリヤは、アガパンソという信仰心の厚い小国の出身で、ナディアという妹がいる。ナディアが正式な領主になるための25歳の誕生日の儀式までには、アガパンソへ帰りたいというのが、キリヤの望みだった。ハウティアの屋敷にはタヴァサという侍女頭がおり、彼女との交流を皮切りに、屋敷の者たちと信頼関係を築いていくようになる。キリヤはハウティアの屋敷の者たちと交流をしていく中で、少しずつアダンにも心を開いていく。大切な人の死を乗り越えたり、日々の喜びを共有する中で、キリヤはアダンの素直な人柄に触れ、少しずつ心惹かれていく。自分のアダンへの恋心を自覚し、それをアダンにも伝え、本当の恋の美しさと嫉妬の醜さに翻弄されていくが、少しずつアガパンソでのナディアの領主になるための儀式の日が近づいてくる。生まれ故郷のアガパンソに何度も、儀式までに帰国したいことを手紙で伝えるが、ナディア自身に拒絶され、叶わない。キリヤは、徐々にハウティアでの生活の心地良さと、アダンへの恋心からずっとハウティアに居続けることを願うようになる。しかし、2人はいずれ別れることを約束しているため、そのジレンマにさいなまれる。アダン自身もキリヤに恋心を抱き始め、お互いに気持ちが通じ合ったかに思えたが、キリヤは忽然と姿を消してしまう。キリヤはどこに行ってしまったのか?アダンはキリヤとの会話をひとつひとつ思い出し、キリヤの行き先を探し始める。