あらすじ
「なぜ、あんなことをしたんだ……?」
とある警察署の取調室。天井の白い蛍光灯の光が、無機質な灰色の壁と机の上に冷たく落ちている。
机を挟んで向かい合う二人の男。そのうちの一人、年配の刑事は机の上で両手を組み、眉間に深い皺を寄せていた。
対する男はうつむき、しばし沈黙していたが、やがて少し顔を上げ、ため息をついた。
「だから、もう何度も話したじゃないですか……」
「そう言うな。聴取ってのはそういうもんだ。いいからもう一度話せ」
「ですから……自殺しようと思ったんですよ」
男は乾いた声で語り始めた。すでに何度も繰り返し口にしているだけに、言葉に淀みはなかった。