あらすじ

救いを求め、指先を伸ばす。けれど、求めれば求めるほど、藻掻けば藻掻くほど、何処までも溺れていく。 息もできず、口から最後の空気が泡となって出ていったのを、ぼんやりと眺めていた。 (あぁ…、) 意識さえも朦朧となってきた。とても苦しいはずなのに、それすらもよく分からなくなる。感覚がもうなくなりかけているのか、と他人事のように思った。 とても眠くなってきた。気を抜けば瞼を閉じてしまうほど。けれど、ここで目を閉じれば戻ってこれなくなる気がする。 (ああ、そうか私…死ぬのか) 別に死ぬのは怖くない、というわけではないが、ただ一つ心残りとしたら、最後に妹に会えなかったことだ。 (最後に…会いた、かった…、なぁ……) 誰も居ない部屋の中、マナはそっと静かに目を閉じた。 ✳ ✳ ✳ ✳ ✳ 「あれ?ここは…?」 気付いた頃には、私は見知らぬ場所にいた。空間、その全てが闇に包まれた場所。何処を見ても視界に映るのは黒一色のみ。現状を把握すべく、マナは思考を働かせる。 (傷は…塞がってる。魔力は…変な感じだ) 体のあちこちに空いていた傷の全てが塞がり、苦しかったはずの肺も、今は良くなっている。けれど魔力の揺らぎ方がおかしい。明らかに、元いた場所と空間の波長が違うかというように。 確か私はさっきまで薄暗い部屋の中にいたはず。どうしてこんな場所に…。そんな事を考えていれば、どこからともなく黒い蝶がやって来て、自分の指先に止まった。全てを飲み込んでしまいそうなほど、真っ黒な蝶。この蝶は一体どこからやってきたのだろう。 (いや、違う。私がここに来たんだ) 見知らぬ場所、塞がった傷、安定しない魔力、どこからともなくやっていた黒い蝶。このことから導き出さる応えは一つ。 (まさか、あの世とか…馬鹿げてる) マナは以前読んだ書物の内容が頭にちらついたが、そんなものはないと思っていた。所詮は人間が創り上げた作り話。その程度の認識。 「その蝶が我以外に懐くのは珍しいな」 「ッ!?」 突如背後からの声に、マナは半ば反射的に振り向いた。

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小説を読もう2025/10/20
  • 現在の作品シスコンな怨霊は死神と契約する