あらすじ
炎の国・暁(ぎょう)——。
その地に生まれた薬師の娘・蘇玲(そ れい)は、25歳の春を静かに迎えていた。
かつて婚約者であった将軍・蒼嵐(そうらん)を五年前の戦で失い、ただ彼の遺した紅花を胸に生きてきた玲。
だがある日、通りで倒れていた瀕死の男が、
蒼嵐の名を呼びながら彼女の腕の中で息を吹き返す。
失われたはずの命。けれどその瞳には、戦の炎を宿す影があった——。
やがて玲は、宮廷に渦巻く“龍炎”の呪いへと巻き込まれていく。
それは王家の血と古の神々が結んだ、千年に及ぶ宿命の業。
そして蒼嵐の魂には、龍の封印が刻まれていた。
炎を鎮めるために選ばれたのは、風の巫女——玲。
愛か、国か。命を懸けた選択の果てに、
彼女は炎そのものとなり、世界を包み込む光へと変わっていく。
風が吹くたび、白い花が揺れる。
それは彼女の魂が、愛する人と共に生き続けている証。
——炎と風は、共にある。
切なくも美しい、再生と誓いの中華幻想恋愛譚。