あらすじ
亡き者の愛と未練を辿って旅をする悪魔×墓守を描く、連作短編。
※ガイドラインに則り、一部話数非公開としています。
以下、『第2回ルビーファンタジーBL小説大賞』応募用あらすじ▼
未練によって現世に留まっている死者の魂を「不完全な死の状態の魂」と呼ぶ。それはやがて悪化し悪霊となり始末される定めにあったが、「墓守」がこの世に現れた。
墓守は、不完全な死の状態の魂を見つけ、その主が死に至るまでの24時間を辿る夢想に入り、主に死を認めさせることで悪化する前に本来あるべき道へと導く、弔いの力を持つ。
青年・ユラは、墓守である養父の死をきっかけに、本来養父が辿るはずだった魂を弔うための旅に出る。だが墓守は本来血統しかなれない職業で、ユラはその力を十分に持っていなかった。旅に出て早々、ユラは遭遇した死者を弔おうと試みるも叶わず、殺人の冤罪をかけられ投獄されてしまう。
しかしユラは、偶然入手していた召喚石から悪魔・オリアスを三百年の眠りから呼び覚ますことに成功する。
悪魔には命を代価に願いを叶えさせる義務を与えることができる。当初罪人に手を貸す気はないと拒んでいたオリアスだったが、ユラの事情や墓守に対する熱意を知ると放っておくことができなくなり、オリアスはユラが墓守としての旅路を手伝う契約を結ぶ。
オリアスの得意な錠破りの魔法で脱獄に成功し、またその力をもとにユラは不完全な死の状態の魂が持つ夢想に入れるようになり、墓守の務めを行えるようになった。
そうして、邪道の墓守と常識人な悪魔、ふたりの旅路がはじまった。
あるときには、画家の青年の夢想に入った——結婚直前に襲撃され落命した彼は、疎遠気味だった幼馴染が身を挺し守ろうとしてくれ共に落命したこと、それほどに大切に思い合いながらもすれ違ったまま永訣を迎えたことが心残りだった。
あるときには、学生の少女の夢想に入った——定期的に人狼の可能性がある者を民に募り処刑する街で育った彼女は、親友が他者と親しくなることを厭い、親友を貶めんとする悪意に加担、集団投票の餌食となったのを見殺してしまったこと、そしてともに往けなかったことを悔いていた。
ときには理想を守らんとするサーカス団の主宰と対峙する中で悪霊を始末する「処刑人」と出会い、ときには墓守への信仰心が過ぎ人身御供まで行う街にあえて災いを齎したりもした。
やがてふたりは旅の始点となった街に一度戻り、故人へ祈りと花を手向ける祭りに参加する。オリアスはそこで自身に悪魔の名を冠した旧友であり裏切者、この世界の大天使と再会し、ユラとともに彼の従者の魂を弔うことに。長命である大天使と最後まで共にあれなかったことが、その者の未練だった。
自由で自己犠牲的なユラ、思慮深く情に厚いオリアス。最初こそは噛み合わなかったふたりだが、そうした様々な形の愛とそれに伴う未練に触れ寄り添う旅の中で、言葉と心を交わし、互いへの信頼と情を育て、息を吸うように甘え甘やかすほどに、愛し合うようになる。
しかし、命懸けの契約はいつか必ずふたりに終わりを齎す。
心の内に避けようのない苦慮を抱きながらも、譲れない使命を胸に、墓守と悪魔は今日も愛を交わしながら、旅を続ける。