あらすじ
公爵家に生まれながら、出来損ないのΩ(オメガ)として虐げられてきた少年リヒト。彼はある日、前世が日本の料理好き青年であったことを思い出す。家族に勘当され、すべてを失った彼が唯一持っていたのは、温かい記憶から生まれる料理の腕前だけだった。
生きるために流れ着いたのは、国最強と謳われる騎士団の厨房。そこで彼は、冷徹無比と恐れられるα(アルファ)の騎士団長アレス・フォン・ヴァイスハイトと出会う。
リヒトの作る素朴で優しい料理は、戦いに疲れた騎士たちの心を癒やし、そして氷のようだと噂されたアレスの心をも、ゆっくりと溶かしていく。「お前の料理は、俺を安心させる」――やがてアレスの愛情は執着にも似た形をとり、リヒトを過剰なほどに甘やかす「溺愛」へと変わっていく。
これは、不遇な令息が料理で成り上がり、運命の番に胃袋ごと愛される、ほっこり異世界ファンタジー。
【登場人物紹介】
◆リヒト・フォン・シュヴァルツ
本作の主人公。公爵家の三男として生まれたΩの少年。家族からは「出来損ない」と虐げられて育ったため、自己肯定感が低く臆病な性格。ある日、現代日本での前世の記憶を思い出し、料理の知識と技術を活かして生きることを決意する。彼の作る温かい料理は、人の心を癒やす不思議な力を持つ。
◆アレス・フォン・ヴァイスハイト
王国の第一騎士団を率いる、最強のαと名高い騎士団長。その圧倒的な強さと冷静沈着な指揮から「氷の騎士団長」と恐れられている。極度の味覚過敏であり、これまで食事をただの栄養補給としか考えていなかったが、リヒトの料理に出会ったことで初めて「美味しい」と感じ、彼に強く惹かれていく。
◆フィン・ラング
第一騎士団に所属する快活な青年騎士。β(ベータ)。リヒトが騎士団に来て最初によくしてくれた人物で、彼の良き友人となる。リヒトの料理の大ファンでもある。
◆ゲルハルト・フォン・シュヴァルツ
リヒトの長兄。α。優秀である自分を誇り、出来損ないの弟リヒトを完全に見下している。シュヴァルツ公爵家の次期当主。