あらすじ

1890年、陸軍中野学校を最年少で卒業した榊 連司(さかき れんじ)は、日清戦争で諜報活動に従事し、多くの戦果を挙げた。 だが、戦場で散っていく命の数を数えるたびに、彼の心は静かに冷えていった。 1900年、戦いを離れた榊は、岐阜の山奥にある「飛騨郡梓谷村」の小学校に赴任する。 21人の生徒を受け持ち、怠惰で平凡な日々を望んでいた彼のもとに、ある日、かつての中野学校の同級生から密書が届く。 ──「ロシアとの衝突、避けがたし。二〇〇四(明治三十七)年、開戦の兆あり」 榊は再び時代の波に呑まれていく。 谷の子どもたちを守るため、そして二度と無駄に命を散らせぬために、彼は“影の教育”を始めた。 やがて日露戦争が勃発し、梓谷の少年たちは一人の指揮官と共に、歴史に名を残さぬ特殊部隊として戦場へと向かう。 だがその戦いは、誰にも語られぬまま終わりを迎える。 霧深き谷に残るのは、帰らぬ者たちへの鎮魂の響きだけだった。

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小説を読もう2025/10/19
  • 現在の作品影無き者達の鎮魂歌